差別化を実現するドラッカーからの質問
「自社の事業は何か」の問いに答えるほど、
簡単で分かりきったことはないように思っているでしょう。
パン屋はパンを売り、保険会社は保険を売る。
タクシーは人を運び、塗装屋はペンキを塗り、美容室は髪を切る。
あまりに当たり前すぎて、
「自社の事業は何か」を問うことは、ほとんどありません。
しかし、事業を決めるのは会社ではなくて顧客のほうです。
社名や会社の定款や品ぞろえが事業を決めるわけはないのです。
顧客が買っていると思っているものを提供するのが事業です。
顧客は満足を買っています。
不満、不安、不足、不利などの解消を買っています。
たとえば、
美容室に行く女性は、単に髪を切りに行くわけではありません。
「きれいになりたい」「気分転換したい」「くつろぎたい」を求めて行きます。
髪を切りに行くだけなら、安くて速い理容室に行くでしょう。
私たち中小企業は、既存市場の中で、強い競争相手がいない
「満たされていないニッチ(限定的)なニーズは何か」を考え、探し、
顧客の望む形で提供していかなければなりません。
このような観点から、「自社は誰に何を提供する事業か」を考えると、
単にモノを売っているのでも、技術を売っているのではないことがわかります。
ちなみに、私は、
「事業を通して社会的な責任を果たしたいと考える中小企業に対して、
ドラッカーを活用した業績アップの仕組み」を売っています。
したがって、単に「勉強好きな人」や「ドラッカー好きの人」は、
私の対象顧客ではありません。